ADB を USB ケーブルなしで使う方法(ワイヤレス デバッグ / adb tcpip)
ADB をケーブルなしで使う方法を解説します。Android 11 以降はワイヤレス デバッグ、Android 10 以前は adb tcpip、さらにブラウザから Wi-Fi 経由でスマホを操作する方法も紹介します。
ADB は USB ケーブルなしでも使えます。Android 11 以降なら、ワイヤレス デバッグ(Wireless debugging)でパソコンとスマホを Wi-Fi 経由でペア設定でき、ケーブルは一度も必要ありません。Android 10 以前では、adb tcpip でネットワークモードに切り替えるために一度だけケーブルが必要で、その後は抜いてかまいません。この記事では両方の方法と、ADBKit を使ってブラウザから接続する方法を紹介します。
お使いのスマホで使える方法
| スマホ | ケーブルは必要? | 方法 |
|---|---|---|
| Android 11 以降 | 不要 | ワイヤレス デバッグ(ペア設定コードまたは QR コードでペア設定) |
| Android 10 以前 | 再起動のたびに 1 回 | adb tcpip 5555 のあと adb connect |
| Android TV、Google TV、Fire TV | 多くの場合不要 | ADB デバッグをオンにすればネットワーク ADB が使える |
Android のバージョンは 設定 › デバイス情報 › Android バージョン(機種により「端末情報」など)で確認できます。詳しい比較は adb tcpip とワイヤレス デバッグの違い をご覧ください。
始める前に
- 開発者向けオプション(デバイス情報の ビルド番号 を 7 回タップ)と USB デバッグ をオンにします。手順は USB デバッグを有効にする方法 を参照してください。
- スマホとパソコンを 同じ Wi-Fi(同じローカルネットワーク) につなぎます。ゲスト Wi-Fi や「AP アイソレーション(プライバシーセパレーター)」が有効なネットワークでは、端末同士が通信できません。
adb pairを使うには Android SDK Platform-Tools 30 以降が必要です。または Chrome か Edge で ADBKit を使います。
方法 1: ワイヤレス デバッグ(Android 11 以降、ケーブル不要)
- スマホで 開発者向けオプション › ワイヤレス デバッグ を開き、オンにします。
- ペア設定コードによるデバイスのペア設定(Pair device with pairing code)をタップします。IP アドレス、ポート番号、6 桁のコードが表示されます。
- パソコンで次を実行します。
adb pair 192.168.1.20:37011- 6 桁のコードを入力します。
Successfully pairedと表示されれば成功です。 - ワイヤレス デバッグの画面に戻り、上部に表示されている IP アドレスとポート を確認して接続します(このポートはペア設定用のポートとは別です)。
adb connect 192.168.1.20:41237
adb devicesペア設定はパソコンごとに 1 回だけで済みます。次回からはワイヤレス デバッグをオンにして、新しいポート番号で adb connect を実行するだけです。ポート番号は毎回変わるので注意してください。
方法 2: adb tcpip(Android 10 以前)
古いスマホは Wi-Fi でペア設定できないため、一度だけケーブルを使います。
adb tcpip 5555ケーブルを抜き、設定 › Wi-Fi › 接続中のネットワーク でスマホの IP アドレスを確認して接続します。
adb connect 192.168.1.20:5555スマホに「USB デバッグを許可しますか?」が表示されたら許可します。このネットワークモードはスマホを再起動するまで有効です。再起動すると Connection refused になり、もう一度ケーブルが必要になります。このエラーについては adb connect の Connection refused を直す方法 で解説しています。
方法 3: ADBKit でブラウザから接続する
Web ページは単独ではスマホへのネットワーク接続を開けません。そこで ADBKit は、お使いのパソコン上で動く小さなエージェントを使います。エージェントはパソコン内でだけ待ち受けて接続を中継し、ADBKit のサーバーには何も送信しません。
- Chrome または Edge で ADBKit を開き、Network: Wireless debugging(Android 11 以降)または Network: TCP/IP(古いスマホ)を選びます。
- 画面の手順に従い、1 行のインストールコマンドでエージェントを起動します。ソースコードは公開されています。
- ワイヤレス デバッグの場合は、6 桁のコードか、スマホで QR コードを読み取ってペア設定します。TCP/IP の場合は、一度スマホを USB でつなげば ADBKit がネットワークモードをオンにしてくれます。
これで Wi-Fi 経由で、画面のライブ表示、キーボード入力、logcat、シェル、ファイル操作、APK のインストールが使えます。エージェントの設定は ADBKit エージェントのリファレンス をご覧ください。
よくあるトラブル
failed to connect ... Connection refused: スマホがそのポートで待ち受けていません。Android 10 以前なら、前回の再起動でネットワークモードがオフになっています。Android 11 以降なら、ワイヤレス デバッグがオフになったか、ポート番号が変わっています。failed to connect ... timed out: IP アドレスが違うか、スマホとパソコンが別のネットワークにいます。- ペア設定に失敗する: コードの有効期限が切れたか、ペア設定の画面を閉じてしまっています。もう一度開いて新しいコードを使ってください。
- 画面が消えると接続が切れる: 省電力のために Wi-Fi を一時停止する機種があります。作業中はスマホを充電し、開発者向けオプションの スリープモードにしない(Stay awake)をオンにしてください。
ワイヤレス ADB は安全?
信頼できるネットワークでだけ使ってください。ワイヤレス デバッグは通信を暗号化し、ペア設定済みのパソコンしか受け付けません。従来の adb tcpip は暗号化されず、再起動するまでポート 5555 が開いたままになるため、公衆 Wi-Fi では避けてください。作業が終わったらワイヤレス ADB をオフにしましょう。